近年、建物の老朽化や人口減少に伴って空き家の増加が深刻な社会問題となっており、それに伴って解体工事の需要も高まっています。
一方で、解体業界では「元請」「下請」の構造が色濃く残り、安定した仕事を受注するには元請企業に依存せざるを得ない状況も少なくありません。しかし、近年はインターネットを活用して元請ではなくエンドユーザーから直接受注する解体業者も増えてきており、Webを活用した集客戦略の重要性が高まっています。
今回の記事では、解体業者がネット集客によって自社の受注を増やし、依頼主の分散または安定した経営を実現するための具体的な手法を詳しく解説していきます。
解体業の元請・下請の構造

下請け構造が利益を圧迫する
解体業界では、元請からの下請け仕事に依存する構造が多くの中小零細企業の収益性を圧迫しています。元請企業は、解体工事を建設・不動産会社やハウスメーカーから一括受注し、下請の解体業者に作業を依頼します。
その際、仲介マージンが差し引かれ、実際に現場で作業する下請業者の利益は大きく削られてしまいます。
元請依存の解体業者のリスク事例
地方で10人以下の小規模解体業を営む会社であれば、年間の売上の90%以上を特定の元請からの下請業務で構成していたりします。
その場合、元請企業の経営方針転換により急に案件が激減し、一時的に休業を余儀なくされることもあり、元請依存型の経営は非常に不安定です。
自主集客への転換が必要
今後の安定経営を目指すには、元請依存から脱却し、自社で顧客を獲得できる集客体制を構築する必要があります。
空き家の増加・分離発注の現状

空き家増加が分離発注を促進
全国の空き家は年々増加しており、2033年には3軒に1軒が空き家になるという予測もあります。
これにより、土地の有効活用や老朽化した家屋の取り壊しを検討する個人や法人が増え、建築会社を介さずに直接、解体業者を探すケースが増加しています。
エンドユーザーの検索行動の変化
建て替えやリフォームであれば建築会社に解体工事も一緒に依頼することも多いですが、空き家であれば、建て替えやリフォームが発生しないため、直接、解体業者を探すシーンが増えてきます。
インターネット検索で「〇〇市 解体工事」と調べて自ら業者を探す施主が増えており、マッチングサイトや一括見積サイトを通じて、複数の解体業者に直接問い合わせるスタイルが一般化しています。
分離発注はネット集客の好機
このような背景から、Web集客を通じてエンドユーザーと直接つながる機会は確実に増えており、地域の解体工事業者がネットでの存在感を高めることが今後の受注確保に直結します。

2000年代の黎明期からいち早くWeb集客に取り組んでいる会社は、地域の解体工事をネットから直接、受注してきました。
BtoBの元請けからの受注のみの解体業者であれば、ネット集客によるBtoC取引の個人からの直接受注できる体制を作ると良いでしょう。集客・売上アップの選択肢を増やすことができます。
解体業者のネット集客方法

Webサイト・LPを新規顧客獲得用に作成
営業マン代わりになるWebサイトやランディングページ(LP)は、集客の土台です。ユーザーの多くは、まずインターネットで業者情報を検索し、料金や施工事例、会社の信頼性を確認します。
検索エンジン対策(SEO)を取り組むのであればWebサイトを作成し、広告のみで集客するのであればLP(ランディングページ)1ページを作成しましょう。
成功事例と期待効果
施工事例・価格表・対応エリア・代表挨拶・問い合わせフォームを掲載したWebサイトを作ったことで、月に10件以上の問い合わせを得られるようになった事例もあります。
Webサイトは「デジタル営業マン」として、休まず働き続ける資産になります。
地域キーワードでSEO(検索エンジン上位表示対策)

「地域名+解体工事」の検索対策
「地域名+解体工事」で検索されたときに自社サイトが上位に出ることで、無料で見込み顧客を集められます。SEOは一度上位表示されれば、広告費をかけずに継続的にアクセスを集められるため、費用対効果が高いです。
中小業者に適した手法
「○○市 解体工事」で1ページ目に表示されたWebサイトは、地域の顧客からのアクセスを得ており、問い合わせ数も安定します。地域SEOは中小の解体業者こそ取り組むべきコスパの良い手法です。
地域キーワードでMEO(Googleマップ対策)

地元施主に刺さる地図検索対策
「近くの解体業者」や「〇〇市 解体業者」などのスマホ検索では、地図結果が優先表示されることが多く、MEO対策によって地元の認知度と信頼性を高められます。
クチコミが成果に直結
Googleビジネスプロフィールを最適化し、口コミを集めたことで、地元からの直接依頼が増えたり、検索結果上位表示にもつながったという事例があります。
Google広告出稿(検索+地域で認知度アップ)

短期施策に最適な検索広告
SEOやMEOは成果が出るまでに時間がかかりますが、Google広告ならすぐに検索結果の上部に表示され、短期的な集客に非常に有効です。
ピンポイント配信で高効率
「〇〇市 解体工事」などで広告を出したところ、月に5〜10問い合わせがあり、100〜300万円の契約につながったというケースもあります。
特定エリアに絞った広告配信で、コストを抑えてピンポイントで施主にアプローチ可能です。
マッチングサイト・一括見積もりサイトへの登録・活用

意欲の高い顧客とつながる手段
解体工事を検討している人が一度に複数の業者に見積もりを依頼できるこうした一括見積もりサイトは、購買意欲の高いユーザーが集まるため、成約率も高めです。
登録だけで安定集客につながる
大手ポータルサイトに登録したことで、月に10件以上の見積依頼が届くようになり、安定的に顧客獲得ができているという中小業者もいるようです。初期費用が抑えられるうえ、受注があれば成果報酬型で負担も少なく、導入ハードルの低い施策です。
まとめ:Web集客体制で利益率を上げる

解体工事業者が安定した集客を実現するには、WebサイトやGoogleマップ、広告などを活用して、自社で直接顧客を獲得できる仕組みを構築することが不可欠です。元請依存のビジネスモデルから脱却し、施主との直接取引を増やすことで、利益率の高い案件を安定的に受注できるようになります。
地方都市でWebサイトとGoogle広告を活用して、個人からの年間受注件数を伸ばした解体業者のように、インターネット戦略が個人からの直接受注を大きく左右する時代になっています。
解体業はWebサイトを整備し、直接個人からの依頼をネット集客できる体制をつくることで、営業コストを抑えながら安定した受注を実現できるのです。

1. Webサイトの作成(社員・代表者の顔、理念と特徴、お客様の声、金額)
2. 地域キーワード(○○市 解体工事)で上位表示
3. マップ上位表示(地域でダントツの口コミ数と評価)
4. Google広告も出稿して、地域を絞って見込み客を集める
地域の解体工事業者の競合を見て、上記を取り組んでいる会社が意外に少ないことに気づくと思います。
上記を地域一番に取り組むことで、BtoC取引となる個人からの受注は安定して増えていきます。完全にネットからの元請けに切り替えるのは大きなコストと労力がかかりますが、まずは個人からの受注割合も増やすことに取り組んでみてはいかがでしょうか。