坂井 和広 近年、スマートフォンやタブレットの普及により、Webサイトへのアクセス手段が多様化しています。PCからの閲覧だけでなく、モバイル端末からも快適に情報を得られることが、ユーザーの満足度やWebサイトの評価に大きく関わるようになりました。現在、ほとんどのサイトに標準搭載されているのが「レスポンシブWebデザイン」です。
これは、1つのWebサイトでありながら、閲覧する端末の画面サイズに合わせて自動的にデザインやレイアウトが最適化される仕組みのこと。特に中小企業のWebサイトにおいては、費用対効果やSEO対策の観点からも、レスポンシブ対応は欠かせない要素となっています。
今回の記事では、Web初心者の中小企業経営者や個人事業主の方に向けて、レスポンシブWebデザインの基本とその導入方法、注意点、そして対応テンプレートについてわかりやすく解説していきます。
レスポンシブWebデザインとは？
閲覧するデバイス（PC・タブレット・スマホ）の横幅に応じて、Webページのレイアウトを柔軟に変化させるWeb設計の方法です。
異なるデバイス（PC・タブレット・スマホ）にはそれぞれ画面サイズや解像度の違いがあります。従来のPC向けサイトでは、モバイル端末での表示が崩れたり、文字が小さく読みづらかったりする問題がありました。
たとえば、PCでは3カラム構成だったページが、スマホで見ると1カラムになり、文字サイズやボタンもタッチしやすい大きさに自動調整されます。
ユーザーにとって見やすく使いやすいWebサイトを提供するためには、レスポンシブWebデザインが必要不可欠です。
レスポンシブWebデザインのメリット
- デバイスごとにページを作る必要がない：1つのHTMLで複数の端末に対応できるため、開発・運用コストを削減できます。
- ユーザー体験の向上：画面サイズに応じた最適な表示により、ストレスのない閲覧が可能。
- SEOに有利：Googleもモバイルフレンドリーなサイトを推奨しており、検索順位の向上に繋がります。
- 更新・管理が容易：1つのサイトで完結しているため、修正も一括で行える。
- SNSとの親和性が高い：スマホ経由でのシェアや閲覧にも対応できるため、拡散力が上がります。
レスポンシブWebデザインのデメリット
- デザインの自由度がやや制限される：画面サイズの変化を考慮するため、細かな表現には限界があります。
- 制作スキルが必要：HTMLやCSSの知識が求められる場面もあるため、初心者には少しハードルが高い場合があります。
- ページ表示速度が落ちることもある：共通ファイルの読み込みにより、画像やスクリプトの最適化をしないと表示が重くなる可能性があります。
レスポンシブ対応が重要な理由
現代のWebサイトにおいて、レスポンシブ対応は標準であり、ビジネスの機会を逃さないために欠かせません。
総務省の調査によると、日本国内におけるインターネット利用者のうち、スマートフォンからのアクセスは年々増加傾向にあります。PCよりもモバイルが主流となっている今、レスポンシブ非対応のWebサイトは「見にくい」「使いにくい」と判断され、離脱率が高まってしまいます。
例えば飲食店を探しているユーザーがスマホでサイトを開いた際、PCサイトしかなく表示が崩れていてメニューが見られなければ、他店に流れてしまう可能性は高いです。
あらゆる端末に対応したWebサイトを用意することは、顧客満足度の向上と売上アップに直結します。
モバイルフレンドリーサイトがSEO・検索順位に影響
Googleは2015年からモバイルフレンドリーをランキング要因の一つとして明言しています。また、2021年以降はモバイルファーストインデックス（MFI）が導入され、Googleの検索評価基準もPCではなくモバイル版を基準とするようになりました。
つまり、レスポンシブ対応していないWebサイトは、検索エンジンに評価されにくくなり、競合に比べて検索順位で劣る可能性があるのです。SEO対策を意識する上でも、レスポンシブWebデザインの導入は必須といえます。
各サイトのアクセス解析を見ていると、閲覧者のユーザー環境は、以下のパターンが多いです。
BtoBサイト：PC60% スマホ40%程度
BtoCサイト：PC10〜20% スマホ80〜90%程度
取り扱っている商品・サービスによって、PC・スマホどちらに重きを置くか決定すべきですが、検索エンジンの評価はモバイル基準となるため、モバイル対応は必須です。
制作時の注意点
- 画像サイズの最適化：画面サイズごとに画像が重くならないように調整が必要
- フォントサイズやボタンの配置：スマホでもタップしやすい設計を心がけて、文字サイズを大きくする
- 横スクロールが出ないようにする：見やすい横幅の制御は特に重要です
- 表示速度の確保：不要なスクリプトやCSSは極力削除し、軽量化を図る
- ブラウザごとの表示確認：Safari、Chrome、Edgeなど、主要なブラウザでの見え方を事前にテスト
WordPressのレスポンシブWebデザイン対応済みテンプレート
WordPressには初期状態からレスポンシブ対応しているテーマが多く存在します。以下は初心者にも扱いやすく、実績も豊富なテーマの例です。
- Cocoon（無料）：日本人開発者による国産テーマで、SEO内部対策も万全。
- Lightning（無料/有料版あり）：ビジネス用途に最適な設計で、拡張性も高い。
- Xeory（無料）：コンテンツマーケティングに強みを持ち、シンプルでSEOに最適化。
- SWELL（有料）：初心者でも直感的に操作でき、ブロックエディタとの相性も抜群。
- THE THOR（有料）：デザイン性と高速表示に優れ、上級者にも人気。
- Snow Monkey（有料）：多機能でデザイン性に優れ、ノーコードでも高品質なサイト構築が可能。
それぞれのテーマはカスタマイズ性も高く、モバイル端末での見やすさも考慮されています。WordPressを用いれば、一から構築する知識がなくてもレスポンシブ対応のWebサイトを作成できます。
まとめ
結論として、Webサイトは必ずレスポンシブWebデザインにすべきです。ユーザーの利便性を高めるだけでなく、SEOにも効果があり、ビジネスチャンスを広げるために重要な要素です。
中小企業や個人事業主がこれからWebサイトを構築・リニューアルするなら、まずはレスポンシブ対応を前提に設計しましょう。WordPressのようなCMSを活用すれば、初心者でも手軽に対応可能です。
時代に合ったWebサイトで、顧客にとって「使いやすい」「見やすい」情報発信の場を整えることが、今後の企業成長に直結していくでしょう。
中小企業・個人事業主がビジネスサイトを新規で構築、またはリニューアルする場合、以下のようにするのがオススメです。
業者に外注する場合
システムはWordPressを選択、レスポンシブ対応のデザインを構築してもらう
※業者によって、独自テンプレートを持っている場合や配布テーマをカスタマイズしている場合があります
自分で作る場合
エックスサーバにWordPressをインストールし、Snow Monkeyなどの有料テーマを使って作成してみる
サイト制作をする際、エックスサーバやWordPressを選ぶ理由、導入の手順・流れについては、以下の記事もご覧ください。
