開業したばかりの税理士が直面する大きな課題のひとつが「顧問先の確保」です。知人の紹介や過去の人脈だけに頼っていては、安定した契約数を維持するのは難しいのが現実です。特に都市部では同業他社との競争が激化しており、自然に顧客が集まる環境は整っていません。
そんな中、効率的かつ継続的に顧問先を増やしている税理士が活用しているのが「ネット集客」です。検索エンジン、Googleマップ、SNS、広告、マッチングサイトなどを活用することで、開業初期でも安定した集客が可能となります。
今回の記事では、ネットを活用して顧客ゼロからでも実現できる顧問先獲得の方法を、具体的に紹介していきます。実際に集客に成功している税理士の取り組みも踏まえながら、すぐに活用できる方法を紹介していきます。
Webサイトの活用

Webサイトは、見込み客が最初にあなたの存在を知る入り口であり、信頼を得るための基盤となるものです。今やホームページがない税理士事務所は、信頼性に欠けると判断される可能性すらあります。
開業当初の税理士事務所であっても以下の要素を含めたWebサイトを構築しましょう。
Webサイトに必須の構成要素
- トップページ:事務所の強み、代表者の顔、キャッチコピーなどを含めたファーストビュー
- サービス紹介ページ:法人税務、個人事業主向け、相続対策など業務ごとに掲載
- 料金案内:パッケージ・顧問料などを明示
- 事務所概要・アクセス情報:事業理念、Googleマップを埋め込み
- 問い合わせフォーム:スマホでも簡単に使える仕様を導入
SEO 地域名+税理士キーワード上位表示
検索エンジンに評価されるためには、地域での知名度(指名検索数)、Googleマップの口コミ評価、適切なキーワードを盛り込んだ情報コンテンツ作成が必要です。
- 「○○市 税理士」「確定申告 税理士 ○○区」など、地域名+サービスの組み合わせが効果的
- ブログ形式での更新はSEOにも強く、節税ノウハウ、税制改正情報などが好まれます
- サイト速度やスマホ対応も検索順位に影響します
地域密着の税理士サービスは、地域キーワードで検索結果の上位に表示されれば、広告費をかけずに継続的な集客が期待できます。

反響の取れるWebサイト(所長の顔出し+特徴を提示+明確な料金)
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地名+税理士キーワードでの上位表示(指名検索数+コンテンツの質とアクセス+Googleマップ口コミ)
上記が達成できれば、毎月安定した問い合わせと顧問先増加を達成することができます。
SEOに関しては、地域の創業が古い税理士法人やマッチングサイトが上位表示されていることがほとんどですので、その中に肩を並べるためには費用・労力・時間が必要です。
Google広告の活用(リスティング広告)

SEOは中長期的な成果が見込める一方で成果を出すまでに時間がかかるので、短期的に顧問先を増やしたい場合にはGoogle広告のリスティング広告が有効です。
検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーが検索したキーワードの検索結果に表示されるテキスト広告のことです。検索結果の上下に『スポンサー』として表示されます。
リスティング広告の特徴
- 顧客が実際に検索しているタイミングで表示される(=顕在層向け)
- 自社のサービスとマッチするキーワードに広告を出せる
成功のポイント
- 「京都市 税理士」「法人設立 税理士」など、具体的でニーズの高いキーワードを選定
- ランディングページ(遷移先ページ)の内容を充実させる
- 日額予算やクリック単価の上限を設けて費用をコントロール
費用をかければ地域キーワードで上位に表示させることができるので、即効性を求める税理士にとっては強力な手段です。
Google広告の活用(デマンド広告)

税理士をすぐに探しているわけではない「潜在層」に対してもアプローチできるのがデマンド広告(デマンド ジェネレーション キャンペーン)です。
活用シーンと媒体
- YouTube広告:事務所紹介のプロモーション動画、セミナー動画や節税の基礎講座などで興味喚起
- ディスプレイ広告:動画サムネイル一覧、ブログ閲覧中などにバナーを表示して認知拡大
メリット
- 顧客が困ったときに思い出してもらえる関係性を構築できる
- 動画や画像でアピールすることで、他の税理士との差別化、ブランド構築が可能
定期的な動画コンテンツの配信や特徴を画像でわかりやすくアピールすることで、信頼の蓄積が加速します。

反響を取りやすいのが検索結果に表示されるリスティング広告ですが、1クリック200〜300円ほどかかり、月3万以上の予算を設定した方が良いです。
デマンド広告は、1クリック10円ほどで出すことができ、月1万の予算でも1000クリック、表示回数は5万表示も可能です。デマンド広告が出る場所は主にYouTubeですが、ネット上に看板広告を出すイメージで、地域を絞って認知度を高めて潜在顧客に知ってもらう取り組みです。
MEO対策(Googleマップ対策)

「近くの税理士を探している」人には、Googleマップ上での表示順位が重要です。Googleビジネスプロフィールの登録・最適化が必須になります。
対策ポイント
- 情報充実:住所、電話番号、営業時間、サービス、説明文などを正確に入力
- 写真追加:代表者の顔写真や事務所内の写真を多数、掲載して安心感を演出
- 口コミ増加:口コミを積極的に集め、返信することで評価が上がる
- 最新情報を追加:週に1回以上、ミニブログとして情報を配信
口コミは新規顧客の判断材料として非常に重要です。対応が丁寧だった、説明がわかりやすかったといった具体的な声を集めることで、他事務所との差別化につながります。

士業のGoogleマップにおいては、全体的に口コミ件数が少ない傾向にあります。
地域でダントツに口コミ評価を集めることができれば、マップ上位表示・検索結果上位表示を達成することができます。
SNSの活用

今やSNSは、税理士としての専門性や人柄を伝えるための重要なチャネルです。人間関係をベースにした「ファンづくり」が可能になります。
各SNSの特徴と活用方法
- Instagram:写真や動画で「やさしい税理士」感を伝えやすい。投稿例:「確定申告のチェックリスト」「税金の小ネタ」など
- X(旧Twitter):速報性が高く、税制改正やニュース解説に向いている
- Facebook:ビジネス繋がりを強化でき、セミナー告知や実績紹介に有効
運用のコツ
- 週1〜2回の投稿でも継続が大切
- 顔出し動画で親近感をアップ
- フォロワーとのコミュニケーションで関係性を育む
フォロワーが顧問契約につながる例も増えており、見込み客との接点を広げる手段として見逃せません。
マッチングサイトへの登録

顧問先がまだ少ない開業直後には、見込み客と直接つながるマッチングサイトの活用が非常に効果的です。
- 税理士紹介センタービスカス:紹介サービス黎明期からの実績あり
- 税理士ドットコム:検索流入が多く、信頼性が高い
- ミツモア:小規模事業者やフリーランスからの相談が多い
成果を上げるポイント
- プロフィール写真はプロに依頼して好印象に
- 実績や対応範囲を具体的に明記
- 返信スピードと丁寧な対応で高評価を獲得
マッチングサイトからの紹介、または、マッチングサイトから公式サイトへ誘導して、最終的に問い合わせに繋がります。

地域キーワードの検索結果を見ると、地元の税理士法人3社、マッチングサイトや比較サイトが7つという傾向が見られます。
マッチングサイトや比較サイトに掲載してもらうことで、公式サイトが地域キーワードで上位表示されていなくても公式サイトに誘導されて問い合わせに繋げることも可能です。
まとめ

ネットを活用した集客は、顧問先ゼロからでも安定経営を目指すための現実的な手段です。すべての手法を一度に始める必要はありませんが、以下のように段階的に取り組むことが重要です。
税理士事務所のネット集客 ステップ別活用モデル
- WebサイトとGoogleビジネスプロフィールを整備(信頼の基盤)
- Google広告で短期的な集客を実施(即効性)
- SNSやブログで情報発信を開始(関係性の構築)
- マッチングサイトで初期の顧問先を確保(確度の高い誘導)
- 中長期でのSEO強化+MEO口コミ増加(検索結果で上位表示)・認知施策(デマンド広告で指名検索アップ)
税理士事務所 開業後の最初の1年が集客の勝負といっても過言ではありません。ネット集客を「仕組み化」できれば、安定して新規の顧問先を増やすことが可能になります。
まずは一歩踏み出し、自分に合った集客スタイルを構築していきましょう。

税理士サービスは顧問契約があるため、Web集客を活用して毎月、安定した集客・問い合わせ・成約を増やして、コツコツ顧問契約を増やせば、安定した売上アップが見込めます。
ネット集客はうまくいっているところとうまくいっていないところで大きく明暗が分かれますので、開業当初から取り組み、集客を安定させるまで、SEO・MEOを中心に継続的に取り組みましょう!