製造業の中小企業がWeb集客・マーケティングで取り組むべき課題とポイント

インターネットがあらゆるビジネスに影響を与える時代になり、製造業でもWebを活用した集客の重要性が高まっています。展示会や電話営業など従来型のアプローチだけでは、新たな顧客獲得が難しくなっている今、Webを活用することでより広い層にアプローチすることが求められています。

中小企業の製造業経営者の中には「うちの業種ではWebなんて意味がない」と感じている方も多いかもしれません。しかし、適切な戦略と工夫次第で、Webは製造業の集客に大きな力を発揮します。

この記事では、製造業の中小企業がWeb集客に取り組む上での課題とポイントを、わかりやすく具体的に解説していきます。

製造業のWeb集客が難しい理由

製造業がWeb集客で直面する課題
  • 製品の専門性が高く、一般的な検索に引っかかりにくい
  • 一般消費者向けではなく、ニッチなBtoB取引が中心である
  • 製品やサービスの可視化が難しい(例:機能や精度の違いがWeb上で伝わりにくい)
  • 情報発信の文化があまり社内に根付いておらず、Web更新が後回しにされがち

これらの特徴から、Webでの集客には、製造業ならではの工夫が求められます。単なる会社紹介ではなく技術力や実績を「相手目線」で伝えることが重要です。

製造業の集客の課題 BtoB・BtoC向けに分ける

製造業のWeb集客は、対象が「企業(BtoB)」か「一般消費者(BtoC)」かによって戦略が大きく異なります。

BtoB(企業向け)の場合

  • 顧客が重視するのは「信頼性」「納期対応」「過去実績」など
  • 技術資料、導入事例、製品スペックなどの情報が重要
  • 問い合わせ前に調査を行う顧客が多いため、詳しい情報の掲載が効果的

具体的に掲載すべき内容

  • 導入事例(企業名・業種・導入効果)
  • 認証取得状況(ISOなど)
  • 技術力や開発実績の紹介
  • よくある質問とその回答

BtoC(一般消費者向け)の場合

  • 顧客が知りたいのは「使い方」「購入方法」「口コミやレビュー」
  • 商品ページの充実、写真や動画の活用が効果的

具体的な工夫

  • 使用シーンの写真や動画
  • 分かりやすい言葉での製品説明
  • 購入までの導線を明確にする(カートボタン、問い合わせ)
坂井

これまで企業向けの卸のみを行なっている中小企業であれば、独自ネットショップを開設して一般消費者向けに商品を販売する。

一般消費者向けに食品を販売しているお店あれば、企業向けに卸す営業をWebサイト上で行うなどが挙げられます。

BtoB、BtoC、どちらもネットを活用して行うことで、初期費用・運用コストを抑えて参入することも可能です。一般消費者向けのネットショップ集客・売上アップについては、以下の記事もご覧ください。

Webサイトで顧客に向けた製品案内

Webサイトは「企業の営業担当」として機能させるべきです。

BtoBのサイトは、訪問者が知りたい情報を簡単に見つけられるように、以下のような構成を意識します。

製造業 BtoBサイトの構成 
  • トップページ:強み、取り扱い分野、実績の簡潔な紹介
  • 製品情報ページ:スペックだけでなく、用途例・導入実績も掲載
  • 技術紹介:対応可能な加工方法、材質、検査体制など
  • お問い合わせページ:問い合わせしやすいフォーム設計、電話番号の明記

さらに、以下の要素を追加することで問い合わせ率が向上します。

  • よくある質問(FAQ)
  • 技術者向けのダウンロード資料(PDF、図面など)
  • 社内設備、スタッフ紹介・社長挨拶や理念(顔が見えることで安心感)

ニッチキーワードによるSEOで集客

大手が狙わない「ニッチキーワード」で上位表示を目指すSEO対策は、中小製造業にとって非常に効果的です。

ニッチキーワードとは?

  • 検索ボリュームは少ないが、購買意欲の高いユーザーが検索する
  • 具体的な課題やニーズを持っている

  • 「アルミ フライス加工 小ロット」
  • 「チタン 板金 曲げ加工」
  • 「試作部品 一個から対応」
  • 「発泡スチロール 加工 業者」

対策のポイント

  • 製品・技術ごとに専用ページを作る
  • タイトルや見出しにキーワードを入れる
  • お客様の声・事例を掲載し、信頼性を高める

限られたアクセス数でも「本気の見込み客」に届くのがニッチキーワードの魅力です。

顧客ターゲットを絞り込んだWeb広告

Web広告は「誰に・何を届けたいか」が明確であるほど、低予算でも成功します。

ターゲット設定の例

  • 地域(例:関東エリアの設計担当者)
  • 業種(例:医療機器メーカーの購買担当者)
  • 課題(例:短納期での試作加工を探している)

活用できる広告手段

  • Google検索広告(ニーズ顕在層
  • YouTubeなどに掲載するデマンドジェネレーション広告(認知拡大
  • Facebook/Instagramなどに掲載するMeta広告(認知拡大

効果的な広告運用のポイント

  • ランディングページと広告内容の一致(クリック後の離脱を防ぐ)
  • 問い合わせ・資料請求ボタンの明示
  • 月単位でデータを分析し、ターゲットやクリエイティブを調整
坂井

顧客属性を細かく絞り込んで認知拡大広告を低予算でかけてニッチキーワードで検索広告をかけてWebサイトに誘導し、テスト広告を繰り返すことで、問い合わせを受ける流れを作ることも可能です。

業界人にささるSNS展開

SNSは単なる情報発信にとどまらず、業界内の信頼獲得や採用活動にも活用できます。

活用できるSNS

  • X(旧Twitter):展示会出展の告知、日々の加工風景の発信
  • Facebook/Instagram:技術者・経営者向けに企業ブランディング
  • YouTube:加工工程や設備紹介の動画投稿

SNSで発信すべき内容

  • 製品や加工のビフォーアフター
  • 工場や設備紹介(動画・写真)
  • スタッフの紹介、働く様子
  • イベント出展報告、受賞歴など

「人が見える」「仕事の裏側がわかる」発信は信頼構築につながります。

製造業に特化したポータルサイトへの登録

製造業専用のポータルサイトを活用することで、受注の入り口を増やすことができます。

主なポータルサイト

  • イプロス:分野別に技術や製品をPRできる
  • エミダス:製造業のネットワークが強く、発注側とのマッチングに優れる
  • NCネットワーク:加工業に特化した企業データベース

登録・運用のポイント

  • 得意な技術・対応可能な材質・納期などを詳細に入力する
  • 写真や図面を活用して視覚的にアピール
  • 問い合わせへの対応スピードを早める

まとめ

製造業の中小企業がWebで集客を成功させるには、業界の特性に合わせた複数の施策を組み合わせることが大切です。

  • 専門的な製品は、ニッチキーワードでSEO強化
  • 信頼性を高めるために、技術資料・実績紹介を充実させる
  • 見込み客に的確に届くWeb広告を活用
  • SNSやポータルサイトで認知拡大と接点作り

こうした取り組みを一つひとつ丁寧に行うことで、少しずつ成果は現れます。

中小企業だからこそ、スピード感や柔軟性を武器にWeb展開を進めることができます。これからの時代、製造業にとってWebは欠かせない営業ツールです。

坂井

製造業はBtoB、BtoCどちらの事業展開も行いBtoCはネットショップや店舗販売BtoBはSEOやネット広告を活用したニッチ戦略が有効です。

この記事を書いた人

坂井 和広

石川県金沢市出身、京都在住のWEBディレクター&マーケター。
Webサイト制作、集客・売上アップの実績をまとめたノウハウ本、著書『Webサイトのつくり方・運営のしかた 売上・集客が1.5倍UPする プロの技101』をソーテック社より出版。

19年以上に渡り、中小企業のWEBサイト制作・集客・解析・売上アップまで総合的に支援。

ネット集客・売上アップに困ったら

書籍 『Webサイトのつくり方・運営のしかた 売上・集客が1.5倍UPする プロの技101』を読んで実践すれば、結果が出ます。『セルフWEB集客&広告設定マスター講座』へ参加いただくとサポートも!